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06.「淀川と安曇川・生水(しょうず)の郷(さと)との交流 安曇川水系での水質調査活動」 NPO法人関西ナショナル・トラスト協会 |2015.8.5
 関西地域の自然や歴史・文化的環境、生活環境の保全のための啓発活動を行っているNPO法人関西ナショナル・トラスト協会。8/4・5に大阪市立東高等学校の生徒を招き、滋賀県高島市安曇川流域で体験学習が行われるということで、2日目に現地に伺いました。
 
大阪市立東高等学校 理科学研究会 フィールドワーク
 参加したのは、大阪市都島区にある大阪市立東高等学校、理科学研究会、高2生7名、高1生7名、(うち女子部員3名)の計14名。東高等学校は、文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、SSHカリキュラムによる授業があるなど、理数系に力を入れています。そのような教育環境に恵まれた理科学研究会は、平成26年度は、科学分野では銀鏡反応、テルミット反応などの実験を行い、生物分野では9月に開催される学園祭で「お魚展示」をするなど、さまざまな活動をしています。
1日目 針江・生水(しょうず)の郷
 参加する理化学研究会・会員たちは、事前学習をしてきた上で、8/4(火)に現地入りし、新旭から琵琶湖水辺の湧水群落や針江・「生水(しょうず)の郷」の「かばた(川端)」*1を見学。水路や池には鯉が飼われ、鯉は水に流した残飯や石についた水苔を食べて水をきれいにします。地元の子どもたちは、板状の発砲スチロールを組んだものを川に浮かべ、それに乗って川遊びをしたり、水路のくぼみにひそむ鮎を探したりして楽しみます。

水路の鯉

川底に揺れる梅花藻(ばいがも)が何とも涼しげ
2日目 安曇川
8/5(水)2日目。部員たちは、昨日見学した針江大川で、安曇川下流の水質調査をします。
次はマイクロバスに乗って20分程移動し、安曇川中流域の両台橋のたもとで水質調査などフィールドワークをします。 晴れの日が続いたからか、関西ナショナル・トラスト協会の皆さんが下見をした時より、水位は低め。照りつける太陽で、まだお昼前だというのに、河原の石は焼けつくような熱さです。


石によって、割れ方が違う


コレ、持って帰るか?

淀川環境委員会の委員も務められる河合典彦氏のレクチャーを受け、上流から流れてきた河原の石の調査からはじめます。ハンマーで石をたたき、礫岩(れきがん)や粘板岩(ねんばんがん)、頁岩(けつがん)(粘土が固まった岩)などを割ってみたり、運よく化石を見つけられないか探してみたり。
 
「亜炭」かつてはここまで琵琶湖であったことを示す??   しゃがんで取るから「砂岩(しゃがん)」*2なんてね

 河合先生が見せて下さったのは、下見をした時に見つけた、粘土状のものに木が埋まった「亜炭」。もともとは大きな木であったものが、長年の堆積の圧力でつぶされ、木と土の水分が蒸発してできたもの。川の流れの変化により地表に現れてくる貴重なものだそうです。

次は、水質調査と生物調査の2班に分かれての作業です。水質班は、Digital Water  Analyzer(ラムダ9000)試薬セットを使い、水速は、ペットボトルを用いて調査します。

生物班は、橋から少し離れた浅瀬で調査。はじめて見つけたヘビトンボ、最もきれいな川にしか生息しないカワゲラ、全長3mmに満たない川底の石の苔に棲むタニガワカゲロウ、針江大川でも見つけたヒラタカゲロウ類ヒゲナガカワトビゲラなど。さまざまな指標となる生物を採取できました。

 
ラムダ9000   タニガワカゲロウ 小さくて見つけるのが難しそう

水質: COD-under, pH: 6.91, 亜硝酸-under, アンモニウム態窒素(NH4-N)-under
水速: 約2.77m/s
水質、指標生物とも迷うことなく水質階級Ⅰ。安曇川中域は、非常にきれいだという結果が出ました。
針江大川の水質階級は、Ⅱ。予想通りの結果だといえるそうです。

現地で、昼食を取ったあと、安曇川上流に向かい、どこまで歩くことができるかに挑戦。暑い中、お疲れ様です。
 
立命館守山高等学校・米国ミシガン州の高校生との交流
15:00には針江に戻り、出来たばかりのラシーヌホームにて、立命館守山高等学校と、アメリカ・ミシガン州の高校生との交流会が開催された。発表会準備の間、グループに分かれて英語での自己紹介。東高・理科学研究会は、(7/29(水)当機構・琵琶湖淀川こども水質保全活動助成・H26成果報告会にて発表した)『淀川水系での水質調査』を、はじめは日本語、2回目は英語で発表しました。
立命館守山高校・留学生との交流会
 ミシガンの高校生からは、立命館守山高生徒の通訳つきの自国での環境・水質問題についてのスピーチがあり、琵琶湖ではブラックバスが外来魚として問題になっているのと同じように、ミシガン湖ではハゼや鯉の繁殖が問題化していることなどを語ってくれました。
 自分たちだけではなかなかできないようなフィールドワークだけでなく、他県の私立高校生や、ミシガン州の高校生との交流の場は、東高のみなさんにとっては、得るものの多い充実した2日間であったことでしょう。

*1 「生水(しょうず)の郷」「かばた(川端)」:
滋賀県高島市針江地区に豊富に湧き出る安曇川の伏流水を、住民は「生水(しょうず)」とよび、「針江の生水」として環境省から「平成の水百選」にも選定されています。その水を庭先や台所の一角に溜めたシステムは「かばた(川端)」とよばれ、今もなお、地元の人々によって日常生活に利用されています。
*2 砂岩(さがん):
さがん・しゃがん。砂が固まった岩。主に砂が続成作用により固結してできた岩石。堆積岩で最も一般的なもののひとつ。構成鉱物は石英と長石が主で、これらに既存の堆積岩や変成岩などに由来する岩片が加わる。
団体名|NPO法人関西ナショナル・トラスト協会
テーマ|「淀川と安曇川・生水の郷との交流会」
目 的|淀川沿いの高校生と生水の郷(かばた)の人々や高校生との交流会及び安曇川沿いの水環境を体験学習する。水・川・湖に対する意識や関わり方の違いを学ぶ。
講 師|生水の郷委員会
山田 國廣氏(京都精華大学名誉教授)
河合 典彦氏(淀川環境委員会 委員)

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