TOP琵琶湖・淀川こども水質保全活動助成について活動レポート03.「多くの生き物がすむ曽爾川と私たちのくらし」

03.「多くの生き物がすむ曽爾川と私たちのくらし」曽爾村立曽爾小学校 | 2014.8.28
 奈良県曽爾そに村立曽爾小学校(松岡清之校長)は、2014年8月28日・29日の2日間(曽爾中学校では27日から30日までの4日間)「サマースクール2014 in曽爾」を行いました。これは、奈良教育大学の教員と学生が曽爾村に宿泊し、理科や数学・算数、そして家庭科の指導にあたるものです。 
 曽爾小学校と曽爾中学校の生徒が、水質調査や微生物の観察などの授業を受けました。
 サマースクール2日目の、8月28日、水質調査活動の現場におじゃましました。

自然がいっぱいの小学校
 奈良県宇陀郡曽爾村は、奈良県の東北端、三重県境に接する村です。村内を貫く形で青蓮寺川(通称曽爾川)が流れています。9月から11月にかけて山肌一面に美しいススキが見ごろを迎える曽爾高原や鎧岳・兜岳、その西側にそびえる国の天然記念物に指定されている屏風岩など、曽爾村の自然は、その多くが室生赤目青山国定公園に指定されており、実に風光明媚な土地柄です。

曽爾高原の美しさに感動。
青空ならもっと美しいのでしょうね。
 そんな、自然豊かな曽爾村にある唯一の小学校、曽爾小学校は、全校生徒31人の小規模校で地域の特徴を活かした教育を展開しています。奈良教育大学と連携して行っているこの「サマースクール」も全国でも特色のある取り組みの一つでしょう。

曽爾川の水質と生き物を調べよう
 サマースクール2日目、午前中の授業「曽爾川の水質と生き物の調査」では、奈良教育大学の藤井智康准教授の指導により、小学3・4年生16人が授業を受けました。
 まず、室内でイラストを使い川や生物について説明を受け、小学校のすぐ前を流れる青蓮寺川(曽爾川)に移動し、水生生物と水質の調査をしました。
 この日の曽爾村は、朝から小雨模様でしたが、なんとか屋外での調査を実施することができるようで一安心です。
 子どもたちは、先生役の奈良教育大学の学生さんたちと一緒に川へ入り、棲んでいる魚や虫の種類から水質を調べるため、水生生物をつかまえました。その後、パックテストを使い曽爾川の水質も調べました。



村内を流れる青蓮寺川(通称・曽爾川)で調査します。少し水の量が多いでしょうか?


パックテストで水質も調べます。


曽爾小学校の教室で藤井先生から今日の授業の説明を受けます。



学校近くの橋を渡って調査地点に向かいます。


石の裏をよーく調べます。何かいましたか?


各班に分かれて川にいた水生生物を報告します。

 水生生物は、サワガニ、カワニナ、コオニヤンマ、ヘビトンボ、トビケラ、ヨシノボリなどが獲れ、どれも「きれいな水」や「ややきれいな水」に生息している生物であることがわかりました。
 また、パックテスト「COD(化学的酸素要求量)」の結果も0~2mg/Lと低い数値で、曽爾川の水質はきれいだということがわかりました。

 サマースクールは工夫を凝らした授業がいっぱい
 奈良教育大学では理科や算数・数学の専門的な知識を持って授業をする「SST(スーパーサイエンスティーチャー)」を養成する講座があり、授業やその補助をするのはその講座を受けている学生さんたちです。
 学生にとって、実際に授業をすることで、子どもたちの顔が見え、直接反応を感じることができます。また、実際教壇に立つ先生との交流もいい経験になるといいます。
 曽爾小学校では、水質調査の授業のほかにも、午前は、べっこうあめ作りから砂糖の性質を学ぶ「砂糖の不思議」、川や池にいる小さな生き物を顕微鏡で観察し、食物連鎖を考える「水の中の小さな生き物たち」の授業が行われました。
 曽爾中学校では、植物の観察を見る・触るだけでなく『食べる』ことからも学ぶ「植物を味覚から学ぼう」、尿素を使ってオリジナルの結晶を作る「尿素の結晶ツリーを作ろう」、2個しかない容器で水の量の計り方を考える「工夫して水の量を計ろう」、空気砲の穴の大きさを変えて実験を行う「押し出せ!空気砲」、嗜好調査や調理実習から味について学ぶ「うま味の科学」など、見学していても大変ユニークでワクワクする授業がたくさんありました。

お昼からは曽爾中学校に移動しました。
廊下にかわいい「すすきのふくろう」が



「植物を味覚から学ぼう」の授業風景
 子どもたちが理科や数学・算数、そして家庭科を楽しく興味を持って考え学んだこと。理数科等の教育を志す学生さんが児童のために授業をするなかから学んだこと。それぞれにとってこれらの経験はとても貴重なものになるでしょう。
 自然に接する機会の多い曽爾村の子どもたちが、これからも好奇心や学ぶ意欲を持って、自然に触れ合い、環境保全の大切さを感じ取って欲しいと感じました。


団体名|曽爾村立曽爾小学校(そにそんりつそにしょうがっこう・奈良県宇陀郡曽爾村)
テーマ|「多くの生き物がすむ曽爾川と私たちのくらし」
目 的|校区である曽爾村内を貫いて流れる青蓮寺川(曽爾川)にすむ生物や水質等の現状を調べ、川と日々の暮らしとの関連を明らかにしながら、今後の生活について考察する。
概 要|曽爾川の現状、曽爾川をきれいに保つための工夫、下流の小学生との交流など


 
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