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レポート1鞍馬川・長代川の生きもの調査
01.「鞍馬川・長代川の生きもの調査」市原野子育て支援ネットワーク会議 | 2014.8.8
 京都市左京区市原野学区の子どもたち19人が、2014年8月8日、地区を流れる鞍馬川で、川に生息する生きものを調査しました。
 主催の「市原野子育てネットワーク会議」事務局、千代裕子さんと運営委員谷村候之さんの案内で、調査の現場におじゃましました。

京都市北部の山あいを流れる鞍馬川
 市原野地区は、京都府京都市の北、鞍馬街道沿いにある集落で、加茂川水系の鞍馬川と高野川水系の長代川沿いにある、山あいのまちです。少し北へ向かい分かれ道を右へ行くと鞍馬寺や鞍馬山が、左へ行くと夏の川床が有名な貴船川や貴船神社があります。京都市内から叡山電車に乗り、20分ほどのところにあるとても自然豊かな地域です。

ホタルをよびもどそう
 市原野子育てネットワーク会議は、市原野学区にある自治連や社会福祉協議会など、13団体で作った組織です。
 市原野子育てネットワーク会議では2013年から「ホタルをよびもどそう」をスローガンに、地域の鞍馬川・長代川の清掃やホタルの観察、生態調査などを行っています。
 今年、5月には地区の子どもたちを中心に「ホタル学習会」を開き、ホタル保護活動に取り組む「京都ほたるネットワーク」会長の村松光男さんからホタルや他の生き物の生態について学びました。6月なかごろまで、地区を流れる長代川と鞍馬川を飛ぶホタルの数を調べ、結果をまとめました。
 昨年からはホタルの数も増え、ホタルが棲める、豊かな自然が残っていることがわかりました。
水がとってもきれいな鞍馬川
水がとってもきれいな鞍馬川

鞍馬川にかかる市原小橋


生きもの調査
 今回の生きもの調査は、学んだことを基に川へ出向き、鞍馬川にはどんな生きものが棲んでいるのか、実際に調べてみようとする試みです。児童館に集まった子どもたちは、調査を行う鞍馬川・市原小橋周辺に移動しました。児童館からは約30分の道のりです。
 先生は、ホタル学習会でもお世話になった村松さんです。村松さんは、「棲んでいる生きもので水質がわかります。魚より虫をたくさんとってください」など虫の取り方や川へ入る時の注意点を説明。子どもたちは、たもを持って一斉に川に入りました。
 川の深さは10~20センチ程度。川底をつっついたり、石をどかしたりしながら「何かいる~」「大きいのがとれた~」と次々と虫や魚などをつかまえます。

生きものを探す子どもたち
みんなで生きものを探します

生きものを探す子どもたち
なんかとれた!?

説明を受ける子どもたち
気をつけて入ってくださいね

生きものを探す子どもたち
何かいるかな?

たもに入った虫
先生に何の虫か聞いてこよう

 みんながつかまえた生きものはあとで観察するため水槽に入れていきます。カエルや小さな魚、虫の幼虫などたくさんの生きものが集まりました。
 生きものが集まったところで、川からあがって水槽を観察します。カワニナやサワガニ、コオニヤンマのヤゴ、カワゲラの幼虫、ヨシノボリなど、いろんな生きものが生息していることがわかりました。カワニナは巻貝の一種で、ゲンジボタルの幼虫のエサになります。

水槽の虫をのぞきこむ子どもたち
またとれたよ
水槽のなかの虫たち
酸欠にならないように、ブクブク。。。

水槽の中の虫を何か調べる
これは何の虫かな?
 これらの水生生物は、環境省が実施する『全国水生生物調査』の指標生物になっています。どの生物も「きれいな水」や「ややきれいな水」に生息していることがわかり、鞍馬川の水質はきれいだということがわかりました。


本格的な水質検査に挑戦
 川の生きもの調査のあとは、川の水をくんで水質検査をします。
 まず、クリンメジャーという水の透視度を計る器具を使います。130センチあるクリンメジャーにアクリル板(標識板)を底まで沈めます。
 検査してみると、鞍馬川の水はとてもきれいで、標識板が一番底にある状態でも十字がばっちり見えました。
 次に、パックテストという簡単な水質検査キットを使います。調べるのは「COD」※1と「pH」※2です。

パックテスト(COD)
パックテスト「COD」底に試薬が入っています

 まずはCODから。パックテストの封をあけ、しっかり持って、栓を抜き、川の水を半分まで吸います。すると、川の水と試薬が反応し、色が変わります。4分たったら検査終了、素早く色見本と見比べ記録します。同様にpHも検査します。pHは反応してから20秒で終了なので急いで記録します。
川の水の透視度を調べる子ども
十字が見えますか? 見えまーす。

パックテストの結果を調べる子どもたち
色見本と見比べます。どのあたりかな?
 村松先生から、川の水質調査結果の記入方法を学び、調査終了です。
 鞍馬川・市原小橋周辺のCODは「4」、pHは「7.5」でした。この結果は、村松先生からまずまずの水質であるとの評価をもらいました。
 最後に、村松先生は子どもたちに「鞍馬川が鴨川に流れ、淀川となり、最後は海に流れる。山を大事にすることで海も大事にすることになります」と自然を守ることが大切なことを伝えてくれました。

今後
 市原野子育て支援ネットワーク会議では、来年も引き続きこの活動を続ける予定です。事務局の千代さんは、「子どもたちがこうした活動を通して体験したことを、家に帰ってもう一度家族の皆さんと話し合ってくれるとよい」と意気込みを語ります。

※1「COD(化学的酸素要求量)」は、水の汚れを示す代表的な指標。強力な酸化剤を加えて水中の有機物を酸化するときに使用(消費)した酸化剤の酸素の量。CODが高いということは、水中に酸素と反応しやすい物質がたくさん入っていると考えられます。(河川や湖沼水の場合、すぐ近くに生活排水や汚水が流れ込んでいる可能性があります)水中の酸素が消費されやすいので、特に流れのない場所では、酸素不足になって魚が棲めなくなってしまいます。自然の浄化作用も低下してしまいます。
※2「pH」は、酸性・アルカリ性の度合い(強さ)を表すのに、0から14までの数値を使います。pH=7が中性で、それより数値が小さいと酸性、それより数値が大きいとアルカリ性となります。水道水はpH7.5ぐらい、レモンはpH2.5、石鹸水はpH9~11ぐらいです。川の水は、中性に近いpH値が多いですが、水が通ってくる地質によってpHが変わります。海水のpH値は8.4です。まず、その地域の河川水の特徴を知ることが大切です。
団体名|市原野子育て支援ネットワーク会議(いちはらのこそだてしえんねっとわーくかいぎ・京都市左京区)
テーマ|鞍馬川・長代川の生きもの調査・ホタル育成環境整備事業
目 的|豊かな地域の自然を守り育てることを子どもたちと一緒に学ぶ。川の実態を学び、地域の川の水質保全活動をすることで、自然と共存していく社会づくりを考えている。
概 要|鞍馬川の生きもの学習会・調査、ホタル育成と比較調査。

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